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「黒崎君はどうして煙草を吸うの?」

そう言った夏野は、熱い日差しが照りつける中、長袖のシャツに紺色のネクタイをきっちりと締めていた。暑くないのかと彼女の顔を見るが、夏野は平然とした顔で黒崎を見つめ返してきた。
視線を逸らし、口に銜えていた煙草を灰皿で潰す。肺に溜めた煙を吐き出すと甘い香りがした。白い煙はあっという間に空気に溶けて消えた。

「なんでだろうな」

しばらくの沈黙の後、黒崎は静かに答えた。煙草のパッケージを取り出し、意味もなくふたを開けては閉める。残りは少ない。答えにならない答えに、夏野は興味なさそうに頷いただけだった。

「じゃあ、夏野はどうしていつも長袖なんだ?」

黒崎が煙草を吸う度にふらふらと近寄ってくる彼女は、今もまた、黒崎の横にいた。煙草が好きなのだと言っていた夏野はどんなに暑い日も長袖を着る。それに何か意味はあるのかと尋ねたが、彼女は微妙な顔をして押し黙ってしまった。

「改めて聞かれると答えにくい」
「あー、聞いちゃいけないことだったのか?」
「そう言う訳でも。ただ、普段考えないことだったから」
「いつから長袖ばっかり着るようになったんだ」
「いつだっけ? 中学校? 多分中1くらい」
「そんなもんか」
「そんなもんだよ」

難問を突きつけられたかのように考え込む夏野を傍目に、黒崎は煙草を銜えた。火をつけようとライターを取り出そうとして、それがポケットにないことに気付く。
さらさらと音がした。癖のない夏野の髪が、彼女が首を傾げた拍子に触れ合った音だった。

「なんでだろうね」

苦笑しながら結局は黒崎と同じ答えを出し、夏野は黒崎の煙草に火をつけた。はっと気付いて彼女の手を見れば、

「……手癖が悪いようで」
「まだ良い方だよ、まだね」

ついさっきまで黒崎のポケットに入っていたライターが、夏野の白い手の中で輝いていた。
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