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Bernadette
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cry

「ねえ黒崎。他人の痛みを知りなさいと言われて、知ることが出来ると思う?」
「無理」
「即答か」
「どれだけ痛いか、知ってるのは本人だけだろ?」
「じゃあ、私が今どれだけ痛いかも分からない?」
「分からない。だけど、お前が今苦しいってことぐらいは分かるよ。そう言う顔してる」
「ああ、正直言うとすごく泣きたいんだ。泣いて良い?」
 真新しい煙草の箱を取り出しながら、彼はとても優しい表情をする。
「どうぞ」
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 いっそ開き直ってたくさんキャラクター作ってそれでわいわいがやがややれば良いんじゃないかな!!!と思った。
 それで短い話を書きつつも、長い話も書いていきたい。やることとしては、メルヘンティックとメランコリックでキャラクター紹介を別々にする。

<メルヘンティック>
収集家の冬峰と、美大生の夏野が中心。冬峰と交流のある不思議な人々や夏野含む美大生グループ。美術品を多く取り扱う。美術品や人物達に関する不思議な話。
・二瓶と八坂、悪夢商人の話
・夏野と山崎と三木、美大の絵の話
・冬峰と夏野、形見の時計の話
・夏野と五木骨董店、簪の話
・鴇崎古書店と文字を食う魚の話
・夏野と灰色の猫、喋る猫と街角の話

<メランコリック>
不思議なことは何も無い、ただの人間関係。ただし人がたくさん。こっちは普通の大学生とか黒崎の仕事場に来る人達とか。いい加減黒崎の設定を話にしたい。あと、別に黒崎中心じゃなくても良い。ヤンデレが出ても良いしそういうちょっと危ない系が出ても良い。
・黒崎の血縁関係の話
・バーテンダーシリーズ
・五木家の話
・ちょっと前に書いた監禁系
 九条に無理矢理引っ張られて、到着したのは幼稚園だった。
 九条は手慣れた様子で背の低い門を開けて敷地に足を踏み入れた。立ち止まる黒崎を一瞥し、早く来いと無言で急かす。一体何なんだと頭を掻いて黒崎もそろそろと中に入った。園児達は今は中で遊んでいるのだろう、外には誰もいない。
 玄関まで入ると、先生だろう女性が九条を見てにっこり笑った。
「あら、こんにちは、リンちゃんのお兄さん」
「どうも。リンを迎えに来たんで」
「はいはい、ちょっと待ってくださいね」
 リンちゃーん、と先生がのんびりした声でホールへ向かって叫んだ。たったったと軽い足音がすぐにやってきた。黄色い帽子に小さな鞄を肩から提げたリンが、頬を上気させて駆け寄ってきたのだ。
「おうリン、帰るぞ」
「はーい! 先生、さようなら!」
「さようならー」
 走っていた。
 何に追われているかも分からず、ただ走っていた。足の裏が地面を踏みつけ、息が上がって酸素が回らない。頭も、腹も、体のその辺り全てが痛かった。ぬるぬるとした感触がした。額から流れた汗と、目から零れた涙だった。
 後ろをひたひたとついてくるのは一体何なのか、振り返る余裕もなく、勇気もない。黒崎はただ走った。髪の毛が針金のように肌を突き刺し、そのたびちりちりとした痛みが感覚として残る。汗でべたついた肌に服が更に張り付いてくる。やめてくれ。誰に対してなのか、何に対してなのか、黒崎自身にも分からない言葉を張り上げた。声は真っ正面の暗闇に飲み込まれていく。気付けば周りは全て暗闇だった。自分の体だけが、光を発している訳でもないのにはっきりとした輪郭を持っていた。走っている地面も本当に存在しているのか定かではない。ぞっとした。悪寒と疲れに足が止まりそうになり、必死になって自分の体を動かした。
 やがて足音がなくなった。ただしそれは自分の足音だけだった。裸足でフローリングを歩くような微かな足音だけが鮮明に聞こえた。次に黒崎自身の呼吸が聞こえなくなった。切れた息がまったく感じられなくなり、自分の耳が狂ってしまったのかと不安になる。だがそれは杞憂で、いまだに足音は聞こえていた。
 足音は止まない。静かにゆっくりと、だがしかし確実に近付いていた。やめてくれ。もう一度叫んだ。発したはずの声はどこにも響かず、暗闇に消える。見下ろした自分の足が動いていないことに気付いた。それは動いていないというよりは、消えかかっているといった方が正確だった。恐怖が喉元までせり上がってきている。それでも伸ばした手は、指先から消えかかっていた。
 足音が聞こえる。
 わたしよりも大きくて骨ばった手だった。そういう手でページを繰る。わたしはそれをそばで見ている。読んでいるのは古典だったり、小説だったり、昔の文学だったり、図鑑だったりする。今日は鉱物図鑑だった。ページに散らばった色とりどりの鉱石を、細くて長い指が一つ一つなぞる。水晶、紅水晶、紫水晶。その下の黒い水晶は彼の目によく似ている。
 空いた手がページを繰る。マイペースに進むページをわたしは追う。説明のページは飛ばして、実物が載ったページはゆっくり読む。わたしは説明を読みたかったのだけれど、そばにいるだけなので口は挟まない。心の中で指を折って数える。彼が読んできた本の数は、まだ、わたしには及ばない。けれどわたしよりまじめに丁寧に読んでいるのだと思う。
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