わたしよりも大きくて骨ばった手だった。そういう手でページを繰る。わたしはそれをそばで見ている。読んでいるのは古典だったり、小説だったり、昔の文学だったり、図鑑だったりする。今日は鉱物図鑑だった。ページに散らばった色とりどりの鉱石を、細くて長い指が一つ一つなぞる。水晶、紅水晶、紫水晶。その下の黒い水晶は彼の目によく似ている。
空いた手がページを繰る。マイペースに進むページをわたしは追う。説明のページは飛ばして、実物が載ったページはゆっくり読む。わたしは説明を読みたかったのだけれど、そばにいるだけなので口は挟まない。心の中で指を折って数える。彼が読んできた本の数は、まだ、わたしには及ばない。けれどわたしよりまじめに丁寧に読んでいるのだと思う。
空いた手がページを繰る。マイペースに進むページをわたしは追う。説明のページは飛ばして、実物が載ったページはゆっくり読む。わたしは説明を読みたかったのだけれど、そばにいるだけなので口は挟まない。心の中で指を折って数える。彼が読んできた本の数は、まだ、わたしには及ばない。けれどわたしよりまじめに丁寧に読んでいるのだと思う。
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