空からちらちらと、白い雪が落ちてきている。冬の空気を孕んだそれは静かに落ちてナナオの肩に白く残った。紺色のブレザーに落ちた雪は少しの間だけ白いままで、あとはゆっくり溶けていく。溶けて、紺色に冷たい水になって残る。
「泣いたり、笑ったり、そういうのが綺麗に撮れると嬉しいじゃないですか」
曇りのない笑顔で夏生は言う。佳乃はただ苦笑した。この少年のような純粋さを持っていない自分に微かな嫌悪と、諦めに似た感情がよぎる。夏生は出来上がった写真をきらきらとした目で見ていた。
煙草を吸いたいな、と思った。一ヶ月に一本吸うかどうかの煙草はおそらく、佳乃のベッドの下に転がっている。取りに行くのは面倒だったし、吸おうとしても店の中では吸ってはいけない。仕方なく諦め、座っていた椅子の背もたれに体を預けた。
「気に入った写真は撮れた?」
「ん、多分」
佳乃を呼んだ父は一人で幕を張り替えようとしていた。慌てて彼へ走りより、一緒になって取り替え作業をした。持った瞬間これを一人でやるのは無理だろう、とため息をつきそうになった。撮影所用の幕は手触りが良く高級感が溢れているが、その反面ひどく重い。いくら父でもさすがに一人で無理だっただろう。
あっちを上げろこっちを上げろと言われるままに幕を持ち上げ、終わった頃には冬にもかかわらず汗だらけだった。
「泣いたり、笑ったり、そういうのが綺麗に撮れると嬉しいじゃないですか」
曇りのない笑顔で夏生は言う。佳乃はただ苦笑した。この少年のような純粋さを持っていない自分に微かな嫌悪と、諦めに似た感情がよぎる。夏生は出来上がった写真をきらきらとした目で見ていた。
煙草を吸いたいな、と思った。一ヶ月に一本吸うかどうかの煙草はおそらく、佳乃のベッドの下に転がっている。取りに行くのは面倒だったし、吸おうとしても店の中では吸ってはいけない。仕方なく諦め、座っていた椅子の背もたれに体を預けた。
「気に入った写真は撮れた?」
「ん、多分」
佳乃を呼んだ父は一人で幕を張り替えようとしていた。慌てて彼へ走りより、一緒になって取り替え作業をした。持った瞬間これを一人でやるのは無理だろう、とため息をつきそうになった。撮影所用の幕は手触りが良く高級感が溢れているが、その反面ひどく重い。いくら父でもさすがに一人で無理だっただろう。
あっちを上げろこっちを上げろと言われるままに幕を持ち上げ、終わった頃には冬にもかかわらず汗だらけだった。
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