部室に置きっぱなしのエレキギターを背負って塾に行った。いつも学校が終わったらすぐ塾に向かうようにしている。学校から家への途中に塾があるからだ。ギターを部室から持ってきたのはこれから夏休みで、学校に行くことが少なくなって練習が出来ないからという理由だ。黒いナイロンがてらてら私の後ろで光っていた。
「ギター?」
国語の先生が言う。国語の授業が終わって、教室に一人残って宿題をしていた時だった。黒崎という名前の男の先生はすらりとした長身で、スーツがよく似合っていた。暑いにも関わらず白いシャツを着ていたけれど、そのシャツは黒板のせいですこしだけ汚れていた。
「軽音部なので」
「メーカーは?」
「シャーベル」
「渋いな」
随分とマイナーなはずのメーカーをどうやら先生は知っているようだった。ちょっとだけ誇らしく思った。軽音部の部室の倉庫に置かれたギター。私の安らぎ。このギターの音がどれだけ私の好きな音なのか、語ってくれたら先生は理解してくれるだろうか。少なくとも奇妙な目で見てくる他の部員達とは違うと思いたい。けれど私は語ることなく頷いただけだった。
「ギター?」
国語の先生が言う。国語の授業が終わって、教室に一人残って宿題をしていた時だった。黒崎という名前の男の先生はすらりとした長身で、スーツがよく似合っていた。暑いにも関わらず白いシャツを着ていたけれど、そのシャツは黒板のせいですこしだけ汚れていた。
「軽音部なので」
「メーカーは?」
「シャーベル」
「渋いな」
随分とマイナーなはずのメーカーをどうやら先生は知っているようだった。ちょっとだけ誇らしく思った。軽音部の部室の倉庫に置かれたギター。私の安らぎ。このギターの音がどれだけ私の好きな音なのか、語ってくれたら先生は理解してくれるだろうか。少なくとも奇妙な目で見てくる他の部員達とは違うと思いたい。けれど私は語ることなく頷いただけだった。
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