真っ白なケーキの表面に指をためらいがちに埋めると、ずぶずぶとあっさり突き刺さった。柔らかなクリームとスポンジは甘ったるいにおいがした。指の熱でクリームが柔らかくなっていく。もう一本指を埋めた。クリームもスポンジも少しだけ冷たかった。
ケーキをちぎる。手がクリームでべたべたになった。食べると、口元もべたべたになった。甘いにおいがする。甘い。少しだけ、すっぱい。スポンジに挟まったいちごの味だった。
またちぎる。食べる。ちぎる。食べる。手がどんどんクリームにまみれていく。溶けたクリーム。黄色いスポンジのかけら。ときどきまじるいちごの果汁。幸せなのか楽しいのかうれしいのかよく分からなかった。
その人はにこにこ笑っていた。なにがおもしろいのか、自分にはやっぱり分からなかった。けもののようにケーキを食べる自分の姿が滑稽だったのかもしれない。そんなことを気にする余裕はなかった。夢中だった。でも、おいしいとは思わなかった。甘かった。ときどき酸っぱかった。それだけだった。
ケーキの半分がなくなり、手が真っ白くどろどろに汚れて、おなかもいっぱいになった頃、ようやく気づいた。あの人は横で笑っていた。笑顔にもいろんな種類があるということに初めて気づいた瞬間だった。あの子はどこ?
ケーキをちぎる。手がクリームでべたべたになった。食べると、口元もべたべたになった。甘いにおいがする。甘い。少しだけ、すっぱい。スポンジに挟まったいちごの味だった。
またちぎる。食べる。ちぎる。食べる。手がどんどんクリームにまみれていく。溶けたクリーム。黄色いスポンジのかけら。ときどきまじるいちごの果汁。幸せなのか楽しいのかうれしいのかよく分からなかった。
その人はにこにこ笑っていた。なにがおもしろいのか、自分にはやっぱり分からなかった。けもののようにケーキを食べる自分の姿が滑稽だったのかもしれない。そんなことを気にする余裕はなかった。夢中だった。でも、おいしいとは思わなかった。甘かった。ときどき酸っぱかった。それだけだった。
ケーキの半分がなくなり、手が真っ白くどろどろに汚れて、おなかもいっぱいになった頃、ようやく気づいた。あの人は横で笑っていた。笑顔にもいろんな種類があるということに初めて気づいた瞬間だった。あの子はどこ?
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