両側を灰色の塀が平行に並ぶ、小道を歩く。車が一台通れるかどうか、それほどの狭さの道は甘い匂いがした。塀からこぼれるように顔を出した紫色の藤の匂いだった。手にした風呂敷包みを抱え直す。甘い匂いは数歩離れても香ってくる。
「ところでそこの君。悪夢はいらないか?」
黒いスーツの男がにこやかに話しかけてきた。
「夏野、しめろ!」
五木骨董店に入った途端、店を切り盛りする女性の絶叫が鼓膜を打った。驚いて扉を閉め、その一瞬後、ガラスに軽いものが当たる音がした。
「ナイス!」
夏野へ叫んだギンコが喜びの笑顔を浮かべて狭い店内を走り寄ってきた。何事かと周りを見渡すと、足下に金魚の形をした物が落ちていることに気付いた。そしてすぐその認識を改める。金魚だ。
「ところでそこの君。悪夢はいらないか?」
黒いスーツの男がにこやかに話しかけてきた。
「夏野、しめろ!」
五木骨董店に入った途端、店を切り盛りする女性の絶叫が鼓膜を打った。驚いて扉を閉め、その一瞬後、ガラスに軽いものが当たる音がした。
「ナイス!」
夏野へ叫んだギンコが喜びの笑顔を浮かべて狭い店内を走り寄ってきた。何事かと周りを見渡すと、足下に金魚の形をした物が落ちていることに気付いた。そしてすぐその認識を改める。金魚だ。
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