「先輩って紐タイ好きなんですかー?」
言われて触れた胸元で、紺色の紐タイが揺れた。それを留めるタイ留めは楕円形をした銀色に、同じく青色のガラスが嵌っている。もともとは夏野の父方の祖父が使っていた物を、数年前の誕生日に貰った物だった。
「紐タイと言うより、タイ留めが気に入ってる」
その祖父も、夏野が十七歳になるのを待っていたかのように死んだ。彼の遺品は未だ屋敷の中の一室に閉じ込められているのだろう。夏野が貰ったのはこの一個だけで、それも今の棚に偶然入っていたのを貰っただけだった。探せばまだあるかもしれないが、それだけのために実家に帰るのは面倒だった。
「綺麗な色ですもんね、それ」
後輩が羨ましそうにタイ留めを見つめてきた。表面にそっと触れる。水の中のような冷たさが指先に残った。
言われて触れた胸元で、紺色の紐タイが揺れた。それを留めるタイ留めは楕円形をした銀色に、同じく青色のガラスが嵌っている。もともとは夏野の父方の祖父が使っていた物を、数年前の誕生日に貰った物だった。
「紐タイと言うより、タイ留めが気に入ってる」
その祖父も、夏野が十七歳になるのを待っていたかのように死んだ。彼の遺品は未だ屋敷の中の一室に閉じ込められているのだろう。夏野が貰ったのはこの一個だけで、それも今の棚に偶然入っていたのを貰っただけだった。探せばまだあるかもしれないが、それだけのために実家に帰るのは面倒だった。
「綺麗な色ですもんね、それ」
後輩が羨ましそうにタイ留めを見つめてきた。表面にそっと触れる。水の中のような冷たさが指先に残った。
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