何故こんなことを、と嘆く女性の涙の美しさが目から離れない。
「貴方、好きだったと言っていたじゃありませんか」
彼女が泣いているのは、私が彼女に摘むように頼んだ花をめちゃくちゃにしてしまったからだろう。つぶれて元の形も分からなくなった花を手に女性は泣く。私はその人の目から溢れる涙の美しさにただ見とれる。
「何故、こんなことを」
もう一度同じ事を繰り返した女性の目元に唇を寄せ、涙を浚う。
嗚呼確かに愚かなことだろう。人の好意を踏みにじる私は最低な男だ。
だがしかし、思うのだ。私はこの花を嫌ってなどいない。好きだったのだろう。だがそれはきっと偽物だ。なぜならばこの花を好いたのはこの人の手にあったからだ。あの日、あの時、この人がこの花を持っていなければ私は一生、この花を愛することはなかっただろう。
そして愛する人が手に入った今、この花を愛する必要もないのだ。
「泣かないでくれ」
嗚咽を漏らす愛しい人よ。貴方がここにいるのならば、私にこの花はもう、必要ないのだ!
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「貴方、好きだったと言っていたじゃありませんか」
彼女が泣いているのは、私が彼女に摘むように頼んだ花をめちゃくちゃにしてしまったからだろう。つぶれて元の形も分からなくなった花を手に女性は泣く。私はその人の目から溢れる涙の美しさにただ見とれる。
「何故、こんなことを」
もう一度同じ事を繰り返した女性の目元に唇を寄せ、涙を浚う。
嗚呼確かに愚かなことだろう。人の好意を踏みにじる私は最低な男だ。
だがしかし、思うのだ。私はこの花を嫌ってなどいない。好きだったのだろう。だがそれはきっと偽物だ。なぜならばこの花を好いたのはこの人の手にあったからだ。あの日、あの時、この人がこの花を持っていなければ私は一生、この花を愛することはなかっただろう。
そして愛する人が手に入った今、この花を愛する必要もないのだ。
「泣かないでくれ」
嗚咽を漏らす愛しい人よ。貴方がここにいるのならば、私にこの花はもう、必要ないのだ!
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