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ベンチに座り、膝に猫を載せている青年を見た。穏やかな色をしたシャツに銀色のネックレスをつけた、温厚そうな青年だ。その青年が黒崎の知っている男だと言うことに、しばらくして気付いた。

「羽住さん」

黒崎の声に顔を上げた羽住が、一瞬驚いたような表情をした。だがそれはすぐ笑顔に変わる。

「やあ黒崎。ずいぶん久しぶりだね」
「そうですね。一年ぶりくらいですか」

彼の横に腰掛ける。羽住の膝に載った猫はすやすやと寝息を立てていた。その背を優しく撫でながら、羽住は言う。

「しばらく見なかったからどうしたのかと思ってたんだけど」
「普通に学校に通ってましたよ。羽住さんこそ、どうしたんですか」
「俺? 俺も普通に通ってたよ」
「でも、一年も会わないってすごいですよね」
「そうだね」

感慨深そうに頷きながら羽住は猫を撫で続ける。その三毛猫を見ながら、黒崎は彼に尋ねてみた。

「羽住さん」
「うん?」
「その猫、なんて呼んでるんですか」
「ああ、こいつ? マカロニって呼んでるよ」
「……」

およそ一年ぶりの再会は、しかし、彼のネーミングセンスの無さを再確認させるだけだった。
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