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Bernadette
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顔を覆っていた黒いベールを払いのけ、そうして見えたのは葬列だった。誰も彼も真っ黒な喪服に身を包んで黙々とどこかに向かって歩いている。緩やかな起伏の向こうには緑の草の茂った丘が見えた。葬列はそこまで続いていた。
無言の誰も彼もと同じように黙々と歩くわたしの目の前を、またベールが覆い隠す。視界が暗い。冷たい風がベールをはためかせ、そのたびに目に映る景色が暗くなり明るくなる。暗い、明るい、黒い、白い。モノクロフィルムを見ているような気分になる。沈黙は静寂。ひたすら足を動かすことは意識を朦朧とさせていく一つの作業に似ている。


丘が近付くにつれて、そこが列の終わりだということに気付いた。丘の頂上には棺があり、気付けば自分はその前に立っていた。列は円になって棺の周りを囲んでいた。周りを囲む人々は自分の見知った顔ばかりだった。けれど誰も何も言わず立ち尽くし、まるで喪服を着た人形のようだ。
誰かの手が背を押した。押されるがままに棺に一歩二歩と近付く。白い花で埋め尽くされた棺の中にはひとり、静かに手を組んで横たわっていた。ベールとは対照的な白い布が顔を隠している。風が止んで、ベールが視界を埋め尽くす。それをそっと手でよせて棺を見つめた。
周りで円を作る見知った顔の、その中に一人、いないことに気付いた。ああ、とため息のような声が自分の口から出た。朦朧としていた意識が一瞬で覚醒し、そしてまた曖昧になる。明瞭になる。
誰かがまた背を押した。その布を取るのだと無言で告げる。風が吹いた。揺れる。揺れる。それは草であり、喪服であり、布であり、ベールである。
ここにいるはずの自分が分からない。明瞭で曖昧な意識は黒いベールが象徴的。棺の中に人ひとり。周りを囲むその中にいないあの人は誰だ。


白い布で隠されたその顔を、さあ。

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