泣き腫らした目を更に腫らすように少女は泣く。エンに縋りつき、泣きじゃくる。
癖のない黒髪を梳く。カヒロの手はエンの背中に回され、その指が痛いほどに食い込んでいた。
「エン、エン」
「なんだいカヒロちゃん」
「わたしは、あなたが死ぬ、ゆめを、みました」
嗚咽の合間に言葉を吐き出しそしてまた少女は泣き続ける。カヒロの目から溢れる涙はエンの服を通して肌を濡らした。涙は温かく、同時に冷たい。
「しなないで、しなないでください、エン」
「大丈夫だよカヒロちゃん。それは夢だ」
「おねがいだから、しなないで。ここにいて」
背中に爪が食い込む痛みは甘い。エンは少女の頭に顎を載せ、あやすようにその背を撫でた。目を閉じたその闇に、ぐしゃぐしゃの車と、電柱と、内臓の飛び出た己の腹が映った。てらてら光る内臓の生々しさに唇を噛んだ。カヒロは泣き止まない。
ごめんね。唇だけを動かして呟いた。
「大丈夫、おれはカヒロちゃんの傍にいるから」
ごめんね。おれは君をおいていく。そうして自分の死を見た少年は、少女に嘘を吐き出す。
癖のない黒髪を梳く。カヒロの手はエンの背中に回され、その指が痛いほどに食い込んでいた。
「エン、エン」
「なんだいカヒロちゃん」
「わたしは、あなたが死ぬ、ゆめを、みました」
嗚咽の合間に言葉を吐き出しそしてまた少女は泣き続ける。カヒロの目から溢れる涙はエンの服を通して肌を濡らした。涙は温かく、同時に冷たい。
「しなないで、しなないでください、エン」
「大丈夫だよカヒロちゃん。それは夢だ」
「おねがいだから、しなないで。ここにいて」
背中に爪が食い込む痛みは甘い。エンは少女の頭に顎を載せ、あやすようにその背を撫でた。目を閉じたその闇に、ぐしゃぐしゃの車と、電柱と、内臓の飛び出た己の腹が映った。てらてら光る内臓の生々しさに唇を噛んだ。カヒロは泣き止まない。
ごめんね。唇だけを動かして呟いた。
「大丈夫、おれはカヒロちゃんの傍にいるから」
ごめんね。おれは君をおいていく。そうして自分の死を見た少年は、少女に嘘を吐き出す。
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