冬峰の住む家には、どういう訳か野良猫が住み着いている。
野良猫と分かるのは首輪は何もつけておらず、黒い毛並みもボサボサだからだ。その猫は堂々と家の中に入ってくる。自分の家だと言わんばかりの態度でソファーに寝そべり、カーペットの上でごろごろし、そのくせ夏野や冬峰が毛並みを撫でようとすると勢いよく立ち上がって逃げる。おかげで今まで一度として、そのボサボサの毛並みが美しくなったことはない。
冬峰が言った訳では無いが、夏野は彼が猫好きであると踏んでいる。野良猫は器用にもドアを開け、冬峰の書斎に入ってくる。それを咎めたことはないし、本が並んだ本棚の上に上ろうが何をしようが、彼は猫を放っておく。しかも、それまでしていた作業を止め、猫をじっと見つめている時さえある。その時の彼の表情がどこか和やかなのは、おそらく夏野の気のせいではない。
その猫が、ここ数日姿を見せない。
野良猫と分かるのは首輪は何もつけておらず、黒い毛並みもボサボサだからだ。その猫は堂々と家の中に入ってくる。自分の家だと言わんばかりの態度でソファーに寝そべり、カーペットの上でごろごろし、そのくせ夏野や冬峰が毛並みを撫でようとすると勢いよく立ち上がって逃げる。おかげで今まで一度として、そのボサボサの毛並みが美しくなったことはない。
冬峰が言った訳では無いが、夏野は彼が猫好きであると踏んでいる。野良猫は器用にもドアを開け、冬峰の書斎に入ってくる。それを咎めたことはないし、本が並んだ本棚の上に上ろうが何をしようが、彼は猫を放っておく。しかも、それまでしていた作業を止め、猫をじっと見つめている時さえある。その時の彼の表情がどこか和やかなのは、おそらく夏野の気のせいではない。
その猫が、ここ数日姿を見せない。
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