消毒液とガーゼとテープをビニール袋に、小林は薬局を後にした。湿った空気は梅雨の匂いがする。すぐそばのベンチに座っている黒崎がぼんやりとした視線を宙に向けていた。彼の頬には三本、赤い線が走っている。ペイントでも何でもない、滲んだ血の色だ。ビニール袋を音をたてて揺らすと、彼の目が動いて小林を見た。隣に吉田はいない。どこに行ったのか、問う前に黒崎の指が薬局の反対側を指した。
自販機、そしてその前に立つ灰色のような銀色のような頭が見える。
「……ん」
濡れたベンチをタオルで拭き、黒崎の横に腰掛ける。買って来た消毒液を取り出したところで、脱脂綿を買い忘れたことに気付いた。また買いに行こうかとも考えたが、それに気付いた黒崎がポケットティッシュを取り出してくれたのでそれを使うことにした。嗅覚を刺激する匂いに顔を顰めながら、消毒液でしめらせたティッシュを黒崎の頬に当てた。彼の顔も同じように顰められたのが見えた。
「痛いか?」
「痛いな。ドSめ」
「なんとでも言え」
軽口をたたけるくらいには彼も落ち着いたようだった。内心安堵のため息をつきつつガーゼとテープの封を切る。頬の傷を隠せるか心配していたが、ガーゼはなんとか覆える程度の大きさだった。黒崎自身にも抑えてもらい、ガーゼを頬に当ててテープで固定した。真っ白なガーゼは悪目立ちするが仕方ないと割り切ってもらうことにした。
自販機、そしてその前に立つ灰色のような銀色のような頭が見える。
「……ん」
濡れたベンチをタオルで拭き、黒崎の横に腰掛ける。買って来た消毒液を取り出したところで、脱脂綿を買い忘れたことに気付いた。また買いに行こうかとも考えたが、それに気付いた黒崎がポケットティッシュを取り出してくれたのでそれを使うことにした。嗅覚を刺激する匂いに顔を顰めながら、消毒液でしめらせたティッシュを黒崎の頬に当てた。彼の顔も同じように顰められたのが見えた。
「痛いか?」
「痛いな。ドSめ」
「なんとでも言え」
軽口をたたけるくらいには彼も落ち着いたようだった。内心安堵のため息をつきつつガーゼとテープの封を切る。頬の傷を隠せるか心配していたが、ガーゼはなんとか覆える程度の大きさだった。黒崎自身にも抑えてもらい、ガーゼを頬に当ててテープで固定した。真っ白なガーゼは悪目立ちするが仕方ないと割り切ってもらうことにした。
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