ホワイトクリスマスというのが憧れだったのは、本当に昔のことのようだ。今では雪が降れば降るほど憂鬱になる。雪が降ると寒い。動きにくい。
口に銜えていた煙草から、いつも以上に白い煙が上がる。手持ち無沙汰に腕時計を覗き込み、抱えていた無駄に大きな包みを揺らす。待ち合わせまであと三十分もある。寒空の下、何が悲しくてこんなポーズをとっているのだろうと考えると、緊張している自分が馬鹿らしく思えた。
(女子高生相手に何をしてるんだ、俺は)
しかも、クリスマスの日にだ。若者の貴重な一日を、四十近い男が奪って良いのかという微妙な良心の呵責がある。それと同時に、何を考えてあの少女が自分とクリスマスを過ごしたいなどと言い出したのか、という疑問が浮かんできた。考え出すと止まらなくなるので、頭を振って追い出した。
代わりに、一時間悩んで買ったプレゼントをどんな言葉とどんな顔で渡せば良いのか。それを考える。だが、きっと何を言っても少女は笑うだろう。年相応の笑顔で。
それが容易く想像出来た。煙草を銜えたまま唇の端を持ち上げる。軽やかな足音が聞こえて振り向くと、待ち人が白い雪の中、小走りに駆け寄ってくるのが見えた。
口に銜えていた煙草から、いつも以上に白い煙が上がる。手持ち無沙汰に腕時計を覗き込み、抱えていた無駄に大きな包みを揺らす。待ち合わせまであと三十分もある。寒空の下、何が悲しくてこんなポーズをとっているのだろうと考えると、緊張している自分が馬鹿らしく思えた。
(女子高生相手に何をしてるんだ、俺は)
しかも、クリスマスの日にだ。若者の貴重な一日を、四十近い男が奪って良いのかという微妙な良心の呵責がある。それと同時に、何を考えてあの少女が自分とクリスマスを過ごしたいなどと言い出したのか、という疑問が浮かんできた。考え出すと止まらなくなるので、頭を振って追い出した。
代わりに、一時間悩んで買ったプレゼントをどんな言葉とどんな顔で渡せば良いのか。それを考える。だが、きっと何を言っても少女は笑うだろう。年相応の笑顔で。
それが容易く想像出来た。煙草を銜えたまま唇の端を持ち上げる。軽やかな足音が聞こえて振り向くと、待ち人が白い雪の中、小走りに駆け寄ってくるのが見えた。
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・四方を壁に囲まれた街
・街の外に出てはいけない
・街の中は穏やかで広い
・そこで暮らす人々
・今まで考えてきた人達全員出すとか
・エティエンヌとかシモンとか
・背中から翼が生えた人
・奇妙な色をした目の人
・何をしても許される?
・この街の外には何があるの?
・街の外に出ようとする子供と、出ることを諦めている大人
・あるいは出て行く必要はないと知っている大人
・墓守は何のために墓を守っているのか
・だってここの人達は死なないじゃない?
・街の外に出てはいけない
・街の中は穏やかで広い
・そこで暮らす人々
・今まで考えてきた人達全員出すとか
・エティエンヌとかシモンとか
・背中から翼が生えた人
・奇妙な色をした目の人
・何をしても許される?
・この街の外には何があるの?
・街の外に出ようとする子供と、出ることを諦めている大人
・あるいは出て行く必要はないと知っている大人
・墓守は何のために墓を守っているのか
・だってここの人達は死なないじゃない?
エティエンヌの特技は早起きだ。目覚まし時計が鳴るよりも早く起きることが出来る。
彼がそんな特技を身につけたのは、彼自身の仕事のために他ならない。まずエティエンヌはベッドから出ると、朝食を作り始める。パンを焼き、野菜を切って皿に盛り、ドレッシングを用意する。同時にフライパンでベーコンを焼きつつ湯を沸かし、熱いコーヒーを淹れる。
そこまでやったら後は寝ているレンフィールドを起こすだけだ。エティエンヌと違い寝起きの悪い彼を起こすのは一苦労だが、そこまでがエティエンヌの仕事なので仕方ない。叩き殴り蹴り蹴飛ばし、そうしてようやく起きたレンフィールドをリビングに引きずって椅子に座らせ、寝ぼけ眼の彼が朝食を食べ始めてようやくエティエンヌの仕事は終わるのだ。
彼がそんな特技を身につけたのは、彼自身の仕事のために他ならない。まずエティエンヌはベッドから出ると、朝食を作り始める。パンを焼き、野菜を切って皿に盛り、ドレッシングを用意する。同時にフライパンでベーコンを焼きつつ湯を沸かし、熱いコーヒーを淹れる。
そこまでやったら後は寝ているレンフィールドを起こすだけだ。エティエンヌと違い寝起きの悪い彼を起こすのは一苦労だが、そこまでがエティエンヌの仕事なので仕方ない。叩き殴り蹴り蹴飛ばし、そうしてようやく起きたレンフィールドをリビングに引きずって椅子に座らせ、寝ぼけ眼の彼が朝食を食べ始めてようやくエティエンヌの仕事は終わるのだ。
・常にガスマスクを身につけている男。
・ガスマスクをつけていない時、つけられない時は、タオルやマフラー、シュマグで顔を隠す。
・とにかく、人に顔を見せたくない。
・何かで顔を隠さないとまともに人と話せない。声も発することが出来ない。
・恥ずかしがり屋とかそういうレベルではない。
・顔を隠している時は普通に喋る。口汚く罵ることも出来る。でも顔が露出した瞬間声を出さなくなる。不気味。
・ガスマスク装着時とそうでない時の二面性の酷さ。筆談なら出来るが、その時の口調は装着時とは似ても似つかない。
・顔は大怪我を負ってボロボロだと思う。目から下、つまり頬の辺り。火傷でも良いかもしれない。
・食事時も外さない。食事は基本的に一人で食べる。
・若干不気味がられている。
あの廃工場群に住むガスマスク男は危険だと皆口々に言うが、ベラベッカには関係のないことだった。
男は言う、「なんでお前は毎日毎日ここに来るんだ」「ここはガキの来るところじゃねえ」「食っちまうぞ」しかしいくら言われても脅されても、ベラベッカは毎日足を運んだ。
廃工場がいくつも連なった中をたった一人の男を探して歩くのは十二歳のベラベッカには大変なことだったが、だんだん男のいる場所が分かるようになった。
シャワーを浴びたばかりの男は上半身裸のまま、タオルを頭から被って浴室から出てきた。顔を隠しながら荒っぽく頭を拭い、そのままタオルを顔に巻き付ける。ガスマスクをつけていない男はベラベッカから視線を外し、すう、すう、と呼吸をする。息の仕方を忘れ今思い出しているような動作だった。
「……なんでここにいるんだ」
蚊の鳴くように小さく、掠れた声だった。いつもはガスマスクでくぐもっている声は、実際に聞いてもどこか錆びた金属のような、不思議な音を伴っている。ベラベッカは部屋の隅に座り込みながら無言で顔を立てた膝に埋めた。
ベラベッカに答える意志がないのを見て取った男は大きく溜息をつくと、ぼろぼろの冷蔵庫を開けていた。
・ガスマスクをつけていない時、つけられない時は、タオルやマフラー、シュマグで顔を隠す。
・とにかく、人に顔を見せたくない。
・何かで顔を隠さないとまともに人と話せない。声も発することが出来ない。
・恥ずかしがり屋とかそういうレベルではない。
・顔を隠している時は普通に喋る。口汚く罵ることも出来る。でも顔が露出した瞬間声を出さなくなる。不気味。
・ガスマスク装着時とそうでない時の二面性の酷さ。筆談なら出来るが、その時の口調は装着時とは似ても似つかない。
・顔は大怪我を負ってボロボロだと思う。目から下、つまり頬の辺り。火傷でも良いかもしれない。
・食事時も外さない。食事は基本的に一人で食べる。
・若干不気味がられている。
あの廃工場群に住むガスマスク男は危険だと皆口々に言うが、ベラベッカには関係のないことだった。
男は言う、「なんでお前は毎日毎日ここに来るんだ」「ここはガキの来るところじゃねえ」「食っちまうぞ」しかしいくら言われても脅されても、ベラベッカは毎日足を運んだ。
廃工場がいくつも連なった中をたった一人の男を探して歩くのは十二歳のベラベッカには大変なことだったが、だんだん男のいる場所が分かるようになった。
シャワーを浴びたばかりの男は上半身裸のまま、タオルを頭から被って浴室から出てきた。顔を隠しながら荒っぽく頭を拭い、そのままタオルを顔に巻き付ける。ガスマスクをつけていない男はベラベッカから視線を外し、すう、すう、と呼吸をする。息の仕方を忘れ今思い出しているような動作だった。
「……なんでここにいるんだ」
蚊の鳴くように小さく、掠れた声だった。いつもはガスマスクでくぐもっている声は、実際に聞いてもどこか錆びた金属のような、不思議な音を伴っている。ベラベッカは部屋の隅に座り込みながら無言で顔を立てた膝に埋めた。
ベラベッカに答える意志がないのを見て取った男は大きく溜息をつくと、ぼろぼろの冷蔵庫を開けていた。
・雪
・豪雪
・吹雪
・目の前が見えない中を歩いていく
・ブーツ
・雪下ろし
・水筒に入ったロイヤルミルクティー
・ストーブの暖かさ
・暖かい部屋の机の前で教科書を広げる
・みかん
・こたつ
・雪降る窓辺
・赤い箱に入ったチョコレートを静かに食べる
・べしょべしょの道を歩く
・クレープを頬張る
・今日はクレープ安いよ!
・コートを着る
・マフラーを巻く
・廊下は寒い
・明るい夜
・光が反射して眩しい夜
・こんなにも眩む
・ホットミルクの味
・砂糖ざらざら
・雪の積もる音
・どんどん白くなっていく目の前が
・寒さに赤くなった頬
・傘
その他
・漂う
・携える
・豪雪
・吹雪
・目の前が見えない中を歩いていく
・ブーツ
・雪下ろし
・水筒に入ったロイヤルミルクティー
・ストーブの暖かさ
・暖かい部屋の机の前で教科書を広げる
・みかん
・こたつ
・雪降る窓辺
・赤い箱に入ったチョコレートを静かに食べる
・べしょべしょの道を歩く
・クレープを頬張る
・今日はクレープ安いよ!
・コートを着る
・マフラーを巻く
・廊下は寒い
・明るい夜
・光が反射して眩しい夜
・こんなにも眩む
・ホットミルクの味
・砂糖ざらざら
・雪の積もる音
・どんどん白くなっていく目の前が
・寒さに赤くなった頬
・傘
その他
・漂う
・携える