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・常にガスマスクを身につけている男。
・ガスマスクをつけていない時、つけられない時は、タオルやマフラー、シュマグで顔を隠す。
・とにかく、人に顔を見せたくない。
・何かで顔を隠さないとまともに人と話せない。声も発することが出来ない。
・恥ずかしがり屋とかそういうレベルではない。
・顔を隠している時は普通に喋る。口汚く罵ることも出来る。でも顔が露出した瞬間声を出さなくなる。不気味。
・ガスマスク装着時とそうでない時の二面性の酷さ。筆談なら出来るが、その時の口調は装着時とは似ても似つかない。
・顔は大怪我を負ってボロボロだと思う。目から下、つまり頬の辺り。火傷でも良いかもしれない。
・食事時も外さない。食事は基本的に一人で食べる。
・若干不気味がられている。


 あの廃工場群に住むガスマスク男は危険だと皆口々に言うが、ベラベッカには関係のないことだった。
 男は言う、「なんでお前は毎日毎日ここに来るんだ」「ここはガキの来るところじゃねえ」「食っちまうぞ」しかしいくら言われても脅されても、ベラベッカは毎日足を運んだ。
 廃工場がいくつも連なった中をたった一人の男を探して歩くのは十二歳のベラベッカには大変なことだったが、だんだん男のいる場所が分かるようになった。

 シャワーを浴びたばかりの男は上半身裸のまま、タオルを頭から被って浴室から出てきた。顔を隠しながら荒っぽく頭を拭い、そのままタオルを顔に巻き付ける。ガスマスクをつけていない男はベラベッカから視線を外し、すう、すう、と呼吸をする。息の仕方を忘れ今思い出しているような動作だった。
「……なんでここにいるんだ」
 蚊の鳴くように小さく、掠れた声だった。いつもはガスマスクでくぐもっている声は、実際に聞いてもどこか錆びた金属のような、不思議な音を伴っている。ベラベッカは部屋の隅に座り込みながら無言で顔を立てた膝に埋めた。
 ベラベッカに答える意志がないのを見て取った男は大きく溜息をつくと、ぼろぼろの冷蔵庫を開けていた。
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