某@ラスゲーに久しぶりにたぎった結果が数年ぶりの二次創作という。
最近ブームの大天使とヒトだった悪魔の話。
最近ブームの大天使とヒトだった悪魔の話。
強くなろうとは思っていなかったはずだ。温かな手はもはや体温など無く、黒と蛍光青の奇妙なタトゥーしか浮かんでいない。握りしめる。意識せずともそのタトゥーの色とは正反対の、真っ赤な炎が上がるだろう事は分かった。そういう体になってしまったのはヒトとしての時間に換算すれば、何時間何日何ヶ月前のことになるのだろうか。もはやヒトではない人修羅は考える。答えはない。
強くなろうと思った時期はあったかもしれない。だがそれはむしろ、強くなることが目的ではなく、生き残るためだった。あの頃はまだ希望があったはずだった。少なくとも友人達はヒトであったし、人修羅には先生に会うという目的があった。だからといって今、目的がない訳ではない。だがそれを認めたくないだけなのだと自分で自分を嘲笑う。うなじから生えた黒い角が疼く。カグツチが満ちる。
からからに乾いた指先で、同じくらい乾いた目元に触れた。ヒトを捨ててから一度も目は潤ったことはない。視界はいつでもクリアだ。クリアな視界の中、青ざめた肌ときらめく金色の髪の大天使が遠くからやって来るのが見えた。立ち上がろうとして動作を止める。頭上で輝くカグツチの光が眩しく忌々しかった。あまりの明るさに目が痛む。立てた片膝を抱えて顔を埋めた。足音はない。かわりに羽音が近付いてくる。
「翼があるっていうのは、良いな」
久しぶりに発した声は掠れていたが、大天使には届いていたようだった。端正な顔立ちに疑問のニュアンスが加わる。人修羅は砂ばかりが広がる地面を指さした。
「砂に足を取られない。移動が楽そうだ」
「……なるほど」
大天使は笑ったようだった。す、と目の前に影が差す。一度はこの手で殺した大天使は今は人修羅を一人の主として認めているらしい。その割に淡泊な受け答えは他の仲魔と比べれば冷たく感じられるが、人修羅にとってはそれくらいがちょうど良かった。彼の見えにくい好意は確かに感じているのだ。そうでなければ今のように、カグツチの光を遮るようにその場にいる訳がない。
「お疲れですか」
「多分ね」
「ですが、そろそろ煌天です」
「ああ」
彼の言わんとしていることは分かっていた。それでも根を張ったように体は動かない。動かそうとしないからだ。もう一度顔を片膝に埋める。
「聞いて良いか」
「なんなりと」
「どうしてあんたはおれなんかに従っているんだ。一度、敵として戦いあったっていうのに」
沈黙を埋め、だんだん昂ぶり始める衝動を抑えつけるように人修羅は問うた。大天使は少し間を置いて、天使という肩書きに見合った真摯さで答える。
「あなたに召喚されたからです」
「なるほど、単純だな」
「ですが今は、それ以外にも。ええ、簡単に言ってしまえばあなたが戦っている姿が、私は好きなのです」
力こそ全てと謳う理に従っていた大天使は、このような理由では駄目ですか、と逆に問い返してきた。人修羅は久しぶりに、口を笑みの形に作った。別に構わない、という答えと共に。
あといくらかでカグツチは満ちるだろう。あと何分くらいか、数えることはもはや出来ない。ヒトが生きていた残骸で溢れかえった球体世界は、しかし残骸でしかない。壊すことは簡単だ、強くなった人修羅にとって壊すのことに何も問題はなく、その力は直すことには使えない。こうして人修羅は自分がヒトであったことを忘れていく。アマラの底に沈んでいくその瞬間に、自分から捨ててしまったのだ。
黒を縁取る青色が、一瞬強く脈打つように輝いた。体に力が満ちていく。戦いたいなあ、と何の前触れもなく考えた。手を伸ばすと、大天使がその腕を引いて立たせてくれた。人修羅と同じ、体温のない肌だった。
「行くか」
「はい」
一歩後ろに大天使を従えて、人修羅は砂に足を埋めた。手を握りしめ拳を形作る。ひ弱だった拳はもはや影も形もない。強くなろうとは思っていなかったはずだ。だが結果として、悪魔に身を堕とし力を得た自分を、大天使は見ているのだろう。ヒトだった頃愛しいと思っていた全てをなくした後に残るのは、ただ自分に従う彼らのみだ。彼らにすがろうとは思わなかったが、大天使が自分の戦う姿が好きだというのなら、今この瞬間だけは心の底から楽しく戦ってやろう、とは思えた。
光に恍惚を見つけた悪魔の声が聞こえる。いつもは不快なはずのその声が、今は甘い歌のように聞こえた。
・人修羅とウリエル
・ラファエルのが好きだったはずなのにウリエルフィーバー
・ウリエル=ヨスガの考え方が捨て切れていない。人修羅に呼び出された時に何かあった訳でも無く、基本的にドライ。ただ、一緒に行動していくうちにだんだん人修羅の考えや行動に染まっていくんじゃなかろうか。
・人修羅=アマラルートまっしぐら。回復なんて持っていないスキル全部攻撃スキルなアタッカー。知りたいと思ってどんどんアマラ深界潜っていったらこうなっちゃった。だから別に悪魔になろうとは思っていなかった。
・やべえ久しぶりの二次創作楽しい
・もうちょっと書きたい
・どうせ二次創作ならカップリング的な物も書きたいような
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