アイスピックで氷を削り、丸く形を作っていく作業がある。バーテンダーとしては習得しておくべきことの一つらしい。氷を素手で掴みそれをアイスピックで削る作業は、親指の付け根をよく怪我をする。
「……」
そして当然の如く、黒崎も刺した。
「…………」
働いている間に練習する時間はない。暇な午後、自室で練習している時だった。強く突き刺しはしなかったが、アイスピックは確かに骨張った皮膚に浅く刺さり、小さな穴を開けた。そこから赤い血が少しずつ浮かび上がり、血の玉がぷつり、と均衡を破って肌を滑り落ちていく。とろとろと流れ出す血の赤さに目を奪われたが、氷の冷たさと溶けて水となったそれが血に混ざり始めたところで視線を逸らした。
一瞬遅れて痛みが走った。氷を流し台に捨て、アイスピックも一緒に転がし、ティッシュを一枚とって傷口に当てた。血はすぐ止まった。
絆創膏を当てた。傷口は覆われて、見えなくなる。それでも残る痛みは不思議な物で、ぼんやりしながら黒崎は煙草を銜えた。
「ねえ、どうしたのそれ」
手を掴まれて絆創膏の上をそっとなぞられる。痛くはない。
「アイスピックで」
「刺したの」
「刺さった」
「馬鹿ね」
「練習してたんだ」
「何の?」
「氷。丸くするんだ」
「……」
そして当然の如く、黒崎も刺した。
「…………」
働いている間に練習する時間はない。暇な午後、自室で練習している時だった。強く突き刺しはしなかったが、アイスピックは確かに骨張った皮膚に浅く刺さり、小さな穴を開けた。そこから赤い血が少しずつ浮かび上がり、血の玉がぷつり、と均衡を破って肌を滑り落ちていく。とろとろと流れ出す血の赤さに目を奪われたが、氷の冷たさと溶けて水となったそれが血に混ざり始めたところで視線を逸らした。
一瞬遅れて痛みが走った。氷を流し台に捨て、アイスピックも一緒に転がし、ティッシュを一枚とって傷口に当てた。血はすぐ止まった。
絆創膏を当てた。傷口は覆われて、見えなくなる。それでも残る痛みは不思議な物で、ぼんやりしながら黒崎は煙草を銜えた。
「ねえ、どうしたのそれ」
手を掴まれて絆創膏の上をそっとなぞられる。痛くはない。
「アイスピックで」
「刺したの」
「刺さった」
「馬鹿ね」
「練習してたんだ」
「何の?」
「氷。丸くするんだ」
PR
この記事にコメントする