彼は自分の作品を、すぐに燃やしてしまう。
だから私は、彼が自分の絵を完成させたところを見たことがない。けれど彼が何を描いているのかは知っている。完成させたことはないけれど、描いている途中ならばいくらでも見られるからだ。彼は決して隠しているわけではない。ただ、本当に、自分の望み通りの絵を描こうとしているのだろう。そして望み通りにならないからこそ、完成しないままに燃やしてしまう。
そうして消え去った彼が残したのは一枚の絵画だった。
どこかの廊下だろうか、暗い壁はしかし、その先に光が溢れている。ぼんやりと病院の廊下を思い出した。生と死が隣り合った空間の静謐さと薄暗さがない交ぜになった青白い廊下だ。
廊下に佇む人の姿に私は息を呑む。そして理解する。ああ彼は行ってしまったのだ。彼は、自分の世界へ行ってしまったのだ。
だから私は、彼が自分の絵を完成させたところを見たことがない。けれど彼が何を描いているのかは知っている。完成させたことはないけれど、描いている途中ならばいくらでも見られるからだ。彼は決して隠しているわけではない。ただ、本当に、自分の望み通りの絵を描こうとしているのだろう。そして望み通りにならないからこそ、完成しないままに燃やしてしまう。
そうして消え去った彼が残したのは一枚の絵画だった。
どこかの廊下だろうか、暗い壁はしかし、その先に光が溢れている。ぼんやりと病院の廊下を思い出した。生と死が隣り合った空間の静謐さと薄暗さがない交ぜになった青白い廊下だ。
廊下に佇む人の姿に私は息を呑む。そして理解する。ああ彼は行ってしまったのだ。彼は、自分の世界へ行ってしまったのだ。
PR
この記事にコメントする