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・ダフネとヴィルジールの出会い
「名前は?」
「……ダフネ」
「月桂樹に変わった人の名前だ」
 ダフネよりいくらか年上だろう少年は癖のないプラチナブロンドで、前髪が少しだけ長かった。その前髪の間から瞳を覗き込むと、目を奪われるほど透き通った碧眼がダフネをじっと見つめていた。

・ヴィルジールとミシェルが施設に入る話
 背中が痛い、と言い出したのは、おそらく二人、同じタイミングだった。
 一つの受精卵から出来た二人は顔も体もそっくりで、それ故に背中が痛み出したタイミングも一緒だったのだろう。羽化と呼ばれる現象だった。
 幼い二人がそのことをお互い打ち明けたのは、寝付けない夜のことだった。まるで離れることを恐れるかのように、昔から二人は一つのベッドに寄り添って眠っていた。そうすれば不思議なほど安心して眠れた。だというのにその夜だけはどういう訳か、まったく寝付けなかった。
「ねえ兄さん、僕、背中が痛いんだ」
「僕もだよ、ジル」

・ダフネが施設に入る話
 羽化という現象が起こるのは、五歳から十五歳までの子供達だけだという。十三歳の時にそれが起きたダフネは、羽化した子供達の中では遅い方に分類されるだろう。
 まずは体のだるさから始まった。それは一ヶ月経ってもおさまることはなく、次第に背中の痛みに変わった。そこまでダフネは親に心配をかけまいと、必死で隠してきた。だが背中の痛みはもはや隠すことは出来なかった。背中の痛みは羽化に繋がるものであると、話に聞いていたからだ。
 親に痛みを伝えた時、両親は泣いた。遅れてダフネもまた泣いた。羽化が家族に何をもたらすか、分かっていたからだ。
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